プラスチックによる海洋汚染の現状と対策
◾️背景
1960年の時点で世界のプラスチック生産量は1000万トン、日本の生産量は55万トン。
2018年には、世界で3億8000万トンに成長した。
アジアでは中国8000万トン、インド2500万トン、インドネシア750万トン、韓国700万トン、台湾600万トン、ベトナム500万トン、日本950万トンに成長している。
用途では包装資材で使用されるのが30〜40%を占めている。
また再加工原料として利用できるマテリアルリサイクル率は日本で13%であるが、ドイツなどEU諸国30%台に達している。
ダボス会議では、2030年までに包装資材のマテリアルリサイクル率を50%以上にし、2040年に全てのプラスチックのマテリアルリサイクル率を50%以上にすることが可決している。
毎年、海洋に放出される使用済みプラスチックゴミは800〜1200トンと言われている。
◾️使用済みのプラスチック
2017年までの使用済みプラスチックは東南アジアへ輸出されていたが、バーゼル条約により資源ごみを輸出することが禁止された。
◾️世界の海洋汚染対策
ペットボトル、プラスチックレジ袋の全面禁止
2️⃣イタリア、フランス
バイオプラ製以外のレジ袋使用は禁酒
3️⃣ドイツ、オーストリア
ペットボトル飲料はデポジット制度採用。使用後に店にボトルを持っていくとボトル代を返金される。
4️⃣アフリカ、南平諸国
レジ袋の有料化
5️⃣中国、韓国
スーパーマーケットでのプラスチック袋禁止
◾️現状
使用済みプラスチックの中で分別して、リサイクル資源として取り出せない異物混合多品種部分は、約50%ある。これらは土中に埋めるか、燃焼処理されてきた。
2019年のG20総会で2050年までにプラスチックによる海洋ゴミをゼロにする目標が採択されたが、日本のプラスチックリサイクル加工技術はEUと比較すると10年〜20年は遅れているといわれていおり、日本企業の技師向上が必要である。
◾️感想
アジアにおけるプラスチック生産量は突出していないが、他国へ金を払ってゴミを捨てられる時代は終わったことから、国内でリサイクルする技術を向上させる必要がある。
エコカーの復習
エコカーのおさらい
日本の完全電動車化は目標を2035年としていますが、電動車の種類は色々あります。
エコカー補助金の対象は、PHV、EV、FCV、CDV で HVは対象外となります。
■CDV(クリーンディーゼル)
コモンレールという新たな燃料噴射システムを採用することで、排ガスによる大気汚染の問題をクリアしている。
■HV(ハイブリッド)
低速時には電池で動いて高速時にはエンジンで動くもの。充電状態に応じて最適になるようにプログラムされている。代表はプリウス。
■マイルドハイブリッド
発電機の機能を高めてモーターとして発進・加速時に使用可能としたもの。減速時に充電され燃費は2割ほど改善される。
■PHV(プラグインハイブリッド)
大容量のLiイオン電池を搭載しており、基本的にはEVとなる。プリウスのフル充電で68kmの走行が可能。遠出の時に電池の電圧が下がるとエンジンも動いてHVと同様の仕組みとなる。
■EV
Liイオン電池を搭載した電気自動車。2010年の日産リーフの走行可能距離は200kmであったが、現在は400km可能となっている。
■FCV(燃料電池車)
水素を使った燃料電池で動くが、直接モーターを回すのではなく、水素電池の充電用となる。水素と酸素が反応して水と電力が得られることからクリーンなエネルギーとなる。
■水素エンジン自動車
水素ボンベを搭載して、排ガスは水のみとなる。使用部品がエンジン車とほぼ同様なので、部品メーカーは生き残れることになる。
■感想
すでに2035年に向けて、技術的には完全電動車化はできる状況で、あとはどのように普及されていくか、また、妥当な価格となるかが課題かと思う。ほかにも、部品を製作していたメーカーが時代にあわせて方針転換していくことが可能かが大きな課題で、大きな反発がでることを想定して、緩やかに完全電動車化に向かうように感じる。
『きんき 182号より』
リサイクル材料を用いたアスファルト舗装材料開発
1.道路舗装
・コンクリート舗装
高い耐久性と、路面が白く明度が高いため、路面温度の低減ご見込まれる。しかし、硬化するまでの間に交通規制を要し、施工に時間もかかる。
・アスファルト舗装
耐久性に劣るが、施工後すぐに開放できる。
アスファルト舗装を本復旧したときの寿命は10年程度。プレート転圧程度の仮復旧の寿命は3〜6ヶ月程度。
2.常温合材の材料
常温合材は粗骨材、細骨材、フィラーとバインダとでできている。
3.リサイクル材料
加熱合材に使用されるリサイクル材料として、アスファルト塊、焼却灰溶融スラグ、下水汚泥焼却灰溶融スラグ、ガラス、廃タイヤなどがある。
1️⃣アスファルト再生骨材
撤去したアスファルトを破砕し、分級し、粒度を調整した材料。安価で材料調達のための運搬コストとCO2排出量が削減できる。
2️⃣エコスラグ
一般廃棄物の焼却灰を1200℃以上の高温下で有機物を燃焼させ、無機物を溶融した後に冷却してガラス質や砂状になったもの。
自治体から安く調達できる。
3️⃣フライアッシュ
4️⃣再生植物油
飲食店や企業で発生する廃油を精製してバイオディーゼル燃料として使用する。
3.リサイクル材料の常温合材への適応
1️⃣アスファルト再生骨材
骨材比率70%以下で使用可能。一般的な常温合材と同等の強度。旧アスファルトを含むため、バインダ添加量を低減可能。
2️⃣エコスラグ
安定度が低い。ガラス質のためバインダを吸収しないことからバインダ量を低減できる。
3️⃣フライアッシュ
合材が団粒化して作業性が著しく低下するため、利用しにくい。
4️⃣再生植物油
鉱物油の代わりに使用しても、強度や作業性に問題はない。
80%リサイクル材料を使用して、CO2を20%削減することが可能となる。
【感想】
重油の高騰により、アスファルト合材の値段が上がっているため、今後も更なるリサイクル資材の活用が重要だと思う。
アスファルトは将来にわたって無くなることがなさそうな材料であるため、アスファルト塊を100%再生できるような技術開発に期待する。
月刊技術士 2022.5月号より
生命を守る気象情報
◾️背景
2019年の台風19号、2020年7月豪雨で亡くなった方の多くは高齢者が7割程度を占めている。
避難情報の速やかな発表、地域を絞った正確な気象情報を発信することが求められている。
◾️気象情報と避難情報
国や都道府県が出す『防災気象情報』、市町村が発表する『避難情報』がある。
大きな災害が予想される段階では各省庁や自治体から同じ時間帯に多くの情報が発表されるので、整理ができない状況となっている。
◾️警戒レベル
2019年5月から警戒レベルを発表している
◾️特別警報の指標 これまで
大雨特別警報には短時間指標と長時間指標があり、どちらかを満たし、かつ、さらに雨が降り続くと予想される地域で、5段階の危険度分布で極めて危険が出現している市町村に発表される。
長時間指標では48時間降水量及び土壌雨量指数が50年に一度の値以上となった5km格子が10格子以上まとまって出現したときに発表。
短時間指標では、3時間降水量及び土壌雨量指数で50年に1度の値以上となった5km格子が10格子以上出現した時に発表されていた。
◾️新たな短時間指標
過去に被害をもたらした現象に相当する土壌雨量指数の基準値を地域毎に設定し、基準値以上となる1km格子が10格子以上まとまって出現すると予想され、かつ、さらに雨が1時間雨量30mm以上と予想される場合に発表される。
◾️感想
正確な情報が早く伝わるようにすることは重要。特に細分化された地域の情報を踏まえた避難情報、例えばハザードマップで避難地域は細かく区分されている。他に高齢者はTVなどで情報を得るので、そこでも細かい情報が出るようにし、避難が遅れることのないようにできないものかと思いました。
月刊 技術士 4月号