コンクリート構造物塩害状況調査について
【背景】
・塩害とは、潮風や凍結防止剤等に含まれる塩分がコンクリートの表面に付着し、内部浸透することで内部鉄筋が腐食して強度低下したり、鉄筋膨張によりコンクリートのかぶりが破壊されて劣化が進行することをいう。
・コンクリート構造物は、橋梁669000橋、トンネル10300本、港湾施設44000施設あり、その多くが施工から30年以上経過している。
【電位差滴定法】
・コンクリートをコアスライスするなどして供試体を採取し、液体に付けて塩化物イオンを溶出させる。2~3週間で結果が判明する。
【蛍光X線分析】
・塩素から発生する低エネルギーの蛍光X線は試料自体による自己吸収の影響を受け る。そのため、資料を微粉砕することで試料を均質化させ、X線照射部の組成にばらつきが生じにくくなる。
【まとめ】
コンクリート構造物の塩害進行状況を把握するために、コンクリート中の塩化物イオン濃度を測定する必要がある。
測定法として、電位差滴定法が一般的だが、測定に多くの時間を要する。
代替法として、非破壊分析法である蛍光X線分析法を用いると、測定時間を1/10以下に短縮し、塩害状況調査に必要な定量分析精度が得られる。
月刊技術士 2020年12月号より