土壌環境問題のリスク
ここでは、ベンゼンなどの揮発性有機化合物による土壌・地下水環境における環境リスクの評価方法について考察する。
■土壌・地下水の汚染
・指定基準に定めのある物質には鉛、水銀、カドミウムなどの重金属、トリクロロエチレンやベンゼンなどの揮発性有機化合物、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェール(PCB)などの残留性有機化合物がある。
・ベンゼンなどの揮発性有機化合物は揮発性が高く、水に溶存する成分もあるため、大気や地下水を通して拡散することが多い。
・汚染物質が土の粒子と粒子の間隙に入り込むことで、土壌、地下水汚染が生じる。
■環境リスクが発現する条件
・所定の濃度を超える
・汚染物質が土壌などを通して受容体まで到達し得る暴露経路
・汚染物質を摂取し得る人間
■土壌・地下水汚染の修復処置
・土壌汚染環境基準及び地下水環境基準以下にすることで、汚染源の除去はそのための手段の一つである。
■土壌汚染の状況把握
①調査データの検討
・汚染源の場所、現状、いつから始まったか
・広がり、人間へのリスク
・地下水に溶存するか など
②土地の利用形態の把握
・土地の現在の利用形態を把握し、人が汚染物質に暴露され得るか
③サイトモデルの作成
・土地、地下水汚染の状況をサイトモデルとして構成する。
④適用する環境基準・規制条件の確認
・環境省で定められた基準
⑤修復処置の検討
・リスク管理の観点
汚染が拡大していなければ当面のリスク増大はない。
・修復目標に向けての修復措置計画の観点
汚染を基準まで浄化する。方法としては、揮発性有機化合物はバイオレメディエーション等の原位置浄化技術、重金属類は分解せずに残留するので封じ込め、固化、不溶化、掘削除去などでリスク低減を図る。
■まとめ
・未知で恐ろしさを感じるものほど高リスクと認知される
・土壌汚染の場合は、技術者が環境リスクを発現させるしくみを正しく説明する努力により、『未知』の印象を緩和することができる。
月刊技術士 2024年8月号より
プラスチックによる海洋汚染の現状と対策
◾️背景
1960年の時点で世界のプラスチック生産量は1000万トン、日本の生産量は55万トン。
2018年には、世界で3億8000万トンに成長した。
アジアでは中国8000万トン、インド2500万トン、インドネシア750万トン、韓国700万トン、台湾600万トン、ベトナム500万トン、日本950万トンに成長している。
用途では包装資材で使用されるのが30〜40%を占めている。
また再加工原料として利用できるマテリアルリサイクル率は日本で13%であるが、ドイツなどEU諸国30%台に達している。
ダボス会議では、2030年までに包装資材のマテリアルリサイクル率を50%以上にし、2040年に全てのプラスチックのマテリアルリサイクル率を50%以上にすることが可決している。
毎年、海洋に放出される使用済みプラスチックゴミは800〜1200トンと言われている。
◾️使用済みのプラスチック
2017年までの使用済みプラスチックは東南アジアへ輸出されていたが、バーゼル条約により資源ごみを輸出することが禁止された。
◾️世界の海洋汚染対策
ペットボトル、プラスチックレジ袋の全面禁止
2️⃣イタリア、フランス
バイオプラ製以外のレジ袋使用は禁酒
3️⃣ドイツ、オーストリア
ペットボトル飲料はデポジット制度採用。使用後に店にボトルを持っていくとボトル代を返金される。
4️⃣アフリカ、南平諸国
レジ袋の有料化
5️⃣中国、韓国
スーパーマーケットでのプラスチック袋禁止
◾️現状
使用済みプラスチックの中で分別して、リサイクル資源として取り出せない異物混合多品種部分は、約50%ある。これらは土中に埋めるか、燃焼処理されてきた。
2019年のG20総会で2050年までにプラスチックによる海洋ゴミをゼロにする目標が採択されたが、日本のプラスチックリサイクル加工技術はEUと比較すると10年〜20年は遅れているといわれていおり、日本企業の技師向上が必要である。
◾️感想
アジアにおけるプラスチック生産量は突出していないが、他国へ金を払ってゴミを捨てられる時代は終わったことから、国内でリサイクルする技術を向上させる必要がある。