地すべり対策工の維持管理について
【概要】
地すべりとは、土地の一部が地下水によって滑る又は移動する現象を言います。
概念としては、特定の深さで上部の移動体と下部の移動体に区分され、その境界に母岩から形成されたすべり面粘土が形成され、その粘土が滑り材として、地滑りが移動する。
【対策工】
抑制工…排土工、押え盛土工、地下水排除工
抑止工…杭工、アンカー工
【維持管理】
排土工、押え盛土工は土工事のためメンテナンスフリー。それ以外は鋼材やコンクリートを用いているので、施設は劣化する。
①アンカー工の長寿命化
・アンカー工は地滑りする移動体の地表部に反力板を設置し、不動体の地盤に固定したアンカー体部から引っ張ることで地滑りを停止させる。
・アンカーの長寿命化を図るには二重防錆のアンカーであっても、定期的に防錆油の注入や、防水材の再設置を適宜行う必要がある。
・ステンレス鋼を用いた耐防食性に優れたアンカーが開発されている。
②集水井工
・コンクリート枠などを滑り面の深さまで建て込んでいる施設で、集水孔が設けてあり、直接、地下水を排除する。
・老朽化した集水井はタラップが腐食し立ち入れないほか、有毒ガスが溜まるなど、点検だけでもリスクが高い。
・今はカメラで内壁の状況を確認できる技術が開発されている。
【感想】
地滑り対策と聞くと災害復旧のイメージがあり、復旧後の維持管理が考えられているものはないように思う。ただ、地滑り対策もセメントや鋼材を用いているので恒久的なものではないことから、橋梁と同じように、計画的な点検が問われる時代がくると予想される。